The World’s Mother Salonライター、ベルリン在住のwakaです。
我が家の娘は現在小学6年生(11歳)。ベルリンに越してきて1年になります。先日、娘の通うベルリンの公立小学校で性教育の授業がありました。日本でも小学4年生のときに女の子の初潮についてお話を聞いていたようですが、その様子とは随分違いがありました。今回は日本、ドイツの性教育事情について、お伝えしたいと思います。
ドイツの性教育は生物の授業の中で行う
日本での性教育といえば、男女別々に集められて話しを聞く、というパターンがまだまだ多いように聞きますが、ドイツでは男女一緒の教室で理科の時間に行われます。
6年生の子ども達は、昨年の9月から理科で生物の誕生と生態を教わってきました。魚・カエル・ニワトリなどの誕生と生態を教わった後で、人体の骨と臓器について習い、最後が人間の誕生。その中で月経の話しも行われます。
月経の話に入ったときには男の子たちは恥ずかしがり、普段授業中に大騒ぎをする男子もシ~ンとし、誰一人発言しなかったとのこと。男の子たちのあいだには“今ここで何か言うと変態だと思われる!”という緊張した空気が流れていたようです。
一方、女子は自分達が主役の話だと思い、普段どおり発言。日本的な感覚の娘にとっては、男女一緒の教室でこんな話を聞かされることが信じられなかったと言っていました。日本では身体測定後に密かに女子を集めて話があるのですから、言ってみれば内緒話のような感じです。
それに対してドイツは完全にオープン。しかもその話に入るまでの流れも、子ども達の動物や動物の赤ちゃんに対する興味関心を満たす流れのなかで自然に作られていると感じます。
文化的な差異も背景にあるのでどちらが良いということは無いのですが、随分違いますね。
恋愛、避妊具の装着方法、性交渉そして同性愛まで、完全オープンな性教育
ところで、こちらの小学校の理科の授業では日本と違いかなり細かいところまで教わります。
さすがドイツと言うべきか、生物の器官の名称等もかなり詳しく習っており、人骨の名称も模型の骸骨に30枚くらいカードを貼りながら教わります。小学校6年生がここまで教わるのかと驚くほどの細かさです。
そのようなこともあり、人間の誕生についても、細かなところまで徹底的に教わったようです。
教科書を見ると、男性器・女性器の話に始まり、恋愛関係について、避妊具の装着方法、性交渉について、胎児の発生と発育について、それぞれ事細かに写真付きで紹介されています。
また、同性愛について紹介されていたのも印象的でした。
同性愛については、先生は“そういうこともありますよね”というように淡々と紹介されていたようですが、子ども達の中には驚きを感じる子も多かったようです。
ビールは14歳から、大麻も合法、タブーの少ないベルリン
あっけらかんと、しかし科学的に、一切包み隠さず全てを教えてしまうこちらの性教育はとてもベルリンらしいと思います。
ベルリンのドイツ人は普段から公園で上半身裸で寝そべって体を焼いていたりしますし、街中のブロンズ像も裸体をモチ―フにしたものが多く、裸を恥ずかしいとか隠そうという意識が希薄です。
とはいえ裸体のブロンズ像はベルリンでも気になる方は気になるようで、水泳施設の真正面に置かれた裸体の少女像には夜中に服を着せる住民もいるようです。ドイツ人がそうするとは考えにくいので性をタブー視する宗教をもつ移民の方が気になって着せているのだと思うのですが、早朝に職員がそれを脱がせているという、ちょっと面白い光景を目にしたことがあります。
そもそも、ベルリンは日本と比べて自由でおおらかです。
例えば、中学生が放課後学校の表階段に座ってビールを飲んでいたりするのですが、ビールは14歳から許されているためお咎めなどは一切ありません。
大麻についてもベルリン市内では合法なので、スーパーのレジの横で他の飴やガムに混ざってスイス製の大麻ガムと大麻キャンデーが販売されています。
性教育についてもそうした大らかで自由な空気を反映して、同性愛まで含めてこれが人間の性というものだよと堂々と紹介されているのだと思います。
まずは性をオープンに語れる環境作りから
ベルリンでは年齢を問わず、街中で手を繋ぐ男女や軽いキスをする男女をしばしば見かけます。アルプスの少女ハイジに出て来るようなアルムのおんじ風の白髪のお爺さんがお婆さんと仲良く手をつないでいる光景も。年代を問わず、カップルは人前でも堂々と仲良くしています。
しっかりとした性教育の土台ができていれば、男女交際についても自分でしっかりと考えていくことができるようになります。性に関してオープンであることを日本は良しとはしない傾向がありますが、オープンにすることで、色々な悩みを共有できたり、問題の早期発見に繋げることもできるようになるはずです。
子どもが正しい知識をしっかりと持てるようになるためにも、まずは大人が学んでいくことが大切だと感じています。
Waka(ベルリン)
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