子どもに伝えたい正しい性教育【性教育勉強会報告②】

子どもへの性教育の基本は2つ。1つは、産まれてきてくれたことへの感謝の気持ちと喜びを伝えること。2つ目は、あなたがとても大切だということをしっかりと伝えること。難しく考える必要はありません。年齢別の伝え方のヒントもご参考くださいね。

2017年9月3日に東京で開催した性教育勉強会のレポート第2弾です。
警視庁生活安全部少年育成課 新宿少年センター主査の小松直人警部にお話しをお伺いした後は、保健師の森崎智恵子さんを囲み、具体的にどう子ども達に伝えていけば良いか、ということについて、お話をお伺いしました。

安易な性行為が引き起こす「リスク」

私たちが子どもの頃と比べ、子どもが自分で入手できる情報量は比較できない程増えてきました。その結果、親が知らないところで、偏った、誤った性情報が先に子どもの頭に入り、「興味」の方が勝り、簡単に性行為に及んでしまう、という子ども達が増えています。
ですが、安易な性行為は、性犯罪に巻き込まれる可能性や、望まない妊娠、人工中絶、そして性感染症の恐れも出てきます。

近年の人工妊娠中絶件数は176,388件で、このうち10歳代の中絶件数は16,113件で約10%を占めているというデータがあります(厚労省 平成27年度衛生行政報告例)。これは生まれてくる赤ちゃんの1/5の数が「産まない」選択をされ、10歳代の中絶件数も1日約44人のペースでされているということになります。
一方こちらは、東京都感染症情報センターによる梅毒患者数の推移です。
2011年頃から梅毒患者が急増し、2015年から爆発的に増加しています。そして年齢別で見ると10代の感染者もいます。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/syphilis/syphilis/

梅毒は、複数の人との性行為が理由の一つとして挙げられていますが、こういった「リスク」を教えてもらえる場所はありません。学校でも、例えば中学生の教科書で性感染症について学びますが、「性的接触でうつる」という言い回しのため、自分ゴトとして考えにくい内容になっているようです。

クラミジアも日本の中で最も多い感染症で、セックスをしている高校生の10人に1人は感染しおり、無症候性(症状がなく気づかれない)ものも含めると、かなりの数ではないかと予測されています。
クラミジア自体は、きちんと治療すれば完治は望めますが、放っておくと卵菅炎・精巣上皮炎、そして将来、不妊症になることもあります。他に、口腔や皮膚との接触だけで移る性感染症もあり、残念ながらコンドームだけで100%妊娠も性感染症も防げるということはありません。そのリスク知っているのと知らないのでは、大きく違いますし、まずは現状を知るということが大切だと思います。

家庭でできる性教育は?

ただ一方で、子ども達にどう伝えたら良いか分からない、ということは多くの方から聞きます。まだ分からないんじゃないか。早すぎるのではないか。伝えることで、却って変に意識をするようになるのではないか、などなど。
でも、最初から何も難しく話をする必要はなく、性教育の基本は、「産まれてきてくれたことへの感謝の気持ちと喜びを伝えること。あなたがとても大切だということをしっかりと伝えること。」という森崎さんのお話がありました。大切だからこそ、自分の身体を大切にしてほしいと思っている、ということを真剣に、丁寧に、温かく伝えられたら、子どももきっと理解できるのではないでしょうか。このような親の気持ちは、年齢に関わらず、ずっと伝え続けていきたいことだと思います。

年齢に応じた内容で、焦らず丁寧に伝えていきましょう

それでは、年齢に応じた伝え方のヒントを簡単にお伝えしましょう。

幼児期~低学年

3-4歳頃になってくると、「ぼく(わたし)はどこから生まれてきたの??」という質問が出始めます。この時に、「コウノトリさんがね・・・」といって終わらせたくはないですね!そもそもこの質問をなぜ子ども達はするのでしょうか?
それは、自分はどうして生まれてきたのだろう?と自分のルーツを知りたいから。この質問は、この世界で自分は生きていていいのだろうか?という、自己肯定感を育くむ土台になる、とても大切な素晴らしい質問です。その子ども達の想いを十分にくみ取りながら伝えて行ければと思います。例えば、幼児~低学年頃のお子さんでしたら、次のような伝え方でもしっかりと大切なことは伝わります。
“お父さんとお母さん、それぞれに赤ちゃんの元があって、その2つの赤ちゃんの元が出会って、赤ちゃんになるんだよ”
話しにくい場合は、絵本を読みながら一緒に話をするのもおすすめのやり方です。赤ちゃんが産まれるということの奇跡を伝えていきたいですね!

第二次性徴(思春期)の子ども達

今では中学生でもコンドームを持ち歩いたり、高校生くらいになると、付き合う=性行為という感覚になっているケースが多く見受けられます。興味を持つのは当然です。ですが、その興味を抑えられるのが「理性」です。
年齢があがってきたら、性行為は命を育む可能性がある、ということ。そして、命が誕生したら、その命に責任を負わないといけない、ということを伝えていくことは、私たち大人の責任です。大きくなった子ども達には、このように話をしてみてはいかがでしょうか。
“彼氏(彼女)ができて幸せそうなあなたを見て、私も嬉しい。人を好きになるってとても素晴らしいこと。でも、簡単にセックスをして良いと考えている人が多いようだけど、身体は赤ちゃんを産むことができる程成長しているのだから、セックスをするということは、いつでも妊娠をする可能性がある、ということを忘れてはいけないのよ”

第二次性徴期を迎えると、子ども達の心、身体、そして交友関係など、親の知らないこともたくさん出てきます。子どもの急な変化に、親の方が戸惑ってしまうこともあるかもしれません。でも、一番戸惑いを感じているのは子ども達です。だからこそ、親が子どもの心や身体の成長を肯定的に捉え、一緒に喜び、そして大切に思っているということ、身体を大切にしてほしい、ということを、節目節目で伝えていく、ということが大切です。

自分の命を大切にすることが、他者の命を大切にすることに繋がります

子ども達が自分を大切にし、他者の命も大切に生きていけるようにするためには、「生命の誕生」の尊さについて知ることがとても大切です。ついつい後回しにしてしまいがちですが、隠すようなことではなく、本当に尊いことなんだということを、まずは親がしっかりと意識をしていきましょう。
森崎さんのお話の中で「親の生き方の姿勢が子どもに表れる」というお話がありました。常日頃から子どもとの対話の時間を大切にし、何かあった時にしっかり話ができる関係を築いていきたいですね!

今後も森崎さんを囲んで定期的に性教育勉強会を開催していきます。出張講座もご用意し、一人でも多くの方とお話ができればと考えておりますので、ご興味がございましたら、お気軽にご連絡ください!
東京での勉強会を2017年11月28日(火)行います。

<森崎智恵子さんプロフィール>

保健師・看護師
ウェルネス・タッチケア®認定講師
ウェルネス・ファシリテーター®認定講師
埼玉県戸田市在住。病院勤務後、都内保健センターの母親学級・新生児訪問・親子教室等で、多くの母子と出会い、またエイズ・性感染症予防相談事業にも従事する。多くのケースワーク(個別支援)を通し、いのちの奇跡と尊さを感じ、そして人間が生きるうえで一番大切なのは、自己肯定感を高めていくことと確信する。
現在、健康保険組合・企業等で健康相談・健康教育に携わり、モールでの育児相談をしている傍ら、・ウェルネス・タッチケア®講座・いのちと性の大切さを伝えるべく活動をしている。

世界マザーサロン編集部

The World’s Mother Salonでは、性教育について特集しています。

第一弾
【子どもと性】性教育は学校任せでいいの?学校教育の現状を見てみましょう。
第二弾
【子どもと性】児童買春、児童ポルノ、中絶、性感染症の低年齢化―偏った性情報が子どもを被害者に
第三弾
【子どもと性】自分の命、他者の命を大切にすることに繋がる正しい性の伝え方
世界の性教育についても取り上げています。
そちらもぜひお読みください。
・ドイツ
【子どもと性:ドイツ】生物の授業で性について学ぶー自然に考える機会を子ども達にー
・中国
【子どもと性:中国】2016年の性被害児童は778人―性犯罪の増加、性行為の低年齢化により変わり始めた学校教育
・マレーシア
【子どもと性:マレーシア】イスラム教では月経開始後の女性に男性は触れてはいけない!~

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です