少女の下着販売と性行為の低年齢化ー子ども達に共通することは【性教育勉強会報告①】

下着販売で補導される少女は、家庭環境や交友関係のトラブルなし、補導歴なしの普通の子ども達。学歴・家柄も関係ありません。でも、エスカレートして援助交際へ走る子も。こうした子ども達には、共通していることがあります。第一線で活躍中の現役警察官から、「守破離」を通して、子どもと親との信頼関係を築いていくことの大切さについて、お話をお聞きしました。

2017年9月3日、東京にて子どもへの性教育勉強会を開催しました。今回は2回に分けて、開催レポートをお届けしたいと思います。
まず伺ったのは新宿少年センター。新宿エリアを中心に、不良行為少年の補導を行っています。不良行為とは、未成年の酒・たばこ、家出、無断外泊、風俗店(ゲームセンターも時間によって風俗店扱いになります!)での出入り、18禁エリアでの出入り、不健全性行為をしている子どもなどが対象になります。
今回は、まさに現場でこうした補導にあたられている、警視庁生活安全部少年育成課 新宿少年センター主査の小松直人警部にお話しをしていただきました。

「うちの子は大丈夫」が一番危険!ガラケーでも情報入手は可能

補導は、ひと昔前は喫煙のケースが多かったようですが、近年は「不健全性行為」や飲酒が増加しています。そして、急増しているのがSNSを使っての下着販売。サイバー補導により検挙された人は、昨年だけで400人もいたとのことです。
下着販売は気軽にでき、簡単にお金が稼げるため、安易な気持ちで始める子が多くいます。ですが、この最初の一歩を踏み出してしまうと、どんどん「リスク」の感覚がなくなり、そこから援助交際、売春へとエスカレートしてしまいます。「うちはガラケーだから大丈夫」と思っていても、友達や先輩から誘われて始める子もいます。どこからでも情報が取れる現在、「うちの子は大丈夫」「うちの子に限って」という思い込みを、まずはなくしていかないといけません。
小松警部のお話の中に、「健全な猜疑心」という言葉がありました。
急にお金が入った場合、子どもに何かしらの生活の変化が表れてきます。最近、持ち物が変わった、ブランドものを持っている、外食が多い、というようなことにちゃんと気付き、「どうしたの?」と声をかけてあげられるかどうかがカギです。

その時、子どもはきっと嘘をつくでしょう。でも、「あ、見られている」ということを気付かせるだけで、行為がエスカレートするのを止めることができます。親がアンテナを高くし、何かあったらいつでも声をかける、ということだけでも、子ども達が不良行為に走るのを抑える抑止力になるのです。

満たされない心の欲求が不良行為に

こうした下着販売をする子は、家庭環境や学歴、交友関係など全く問題なく、普通の子ども達ばかり。補導歴もなく、家庭環境も普通で、中には高学歴の子もいます。では、そのように満たされている子がなぜそのような行動を起こしてしまうのか。
小松警部の話の中で「欲求」についての話がありました。人間には色々な欲があります。
物欲や金銭用というのもありますが、その他に、①関係欲求(近しい人との友好な関係を築きたい)、②所属欲求(安心していられる居場所が欲しい)、③愛情欲求(愛されたい)、④承認欲求(認めてほしい)というのもがあります。この4つは、相手がいないと満たされません。

時間に追われる生活の中、親子関係も含め人間関係が希薄化し、それが結局、子ども達の心の中に不満として沸き上がり、マイナスのエネルギーに変わり、それを金銭欲や物欲で満たす、という構図になってしまっています。
そのため何か悪いことをした時に、その「行為」だけを注意しても、同じことを繰り返してしまいます。少年犯罪の再犯率は33-34%とのことで、成人よりもずっと高い状況。この数字は、この根っこの部分がどれだけ子ども達の心に影響を与えているのかの証なのではないでしょうか。多くの方が「うちは大丈夫」と思われているかもしれません。でも、ここでも改めて、「うちは大丈夫かな??」と子どもに意識を向けてみることが大切なように思います。

性行為の低年齢化―早い子は小学生でも

一方、性行為の低年齢化も問題になっています。文科省が定める教育課程では、「性的接触」という程度の表現にとどまり、それが自分ごととして学べる内容には残念ながらなっていません。一方で、ドラマやインターネットからは面白そうな「ネタ」としての情報が大量に入ってきます。子ども達にとって、正しい知識が整理できていない中では、「興味」の方が勝ってしまい、安易に行為に及んでしまいがちです。
命に責任がもてるのかどうか、ということも、私たち大人がしっかり伝えていかないといけませんね。
「命の大切さを子どもに伝えること」については、2回目のレポートで詳しくお伝えしていきます!

子育てにも「守破離」を―日頃からの向き合い方を見直してみましょう―

子ども達の非行、不良行為を防ぎ、健全な成長を守るためには、日頃から子どもとどう向き合っていくかが本当に大切です。小松警部のお話の中に、「守破離」というお話がありました。
師弟関係のあり方の中でよく使われる言葉ですが、これは子育てでも同じです。

守破離の「守」-赤ちゃんから10歳頃まで

まず「守」の時期は、生命に危険が及ぶこと、他人を不幸にしてはいけない、ということをしっかりと伝えていく。自分の身体を大切にする、ということもその一つです。「自分の身体を大切にする」を伝えるためには、子どもが親からの愛情をしっかり感じ取っていることが重要です。この時期に多くの愛情をかけてあげましょう。

守破離の「破」-11歳頃から18歳頃まで

「破」の時期にあたるのが思春期。これまでの親・大人からの教えをベースに発展していく「型破り」の時期に入ります。この時期は見守る。子どもが何か失敗をした時に親が手助けばかりをしていると、自分で責任をとれない人になってしまいます。
自分で考えさせ、選択させる。この時にどういう選択ができるかは、「守」の時期の過ごし方が大きく影響してきます。

守破離の「離」-18歳以降

そして「離」の時期。18歳以降、「大人」として自律をしていく段階に入ります。ここでしっかりと自律していけるかどうかは、守・破の時期の過ごし方で歩み方も変わってきます。
子どもの不良行為には必ず理由があります。親が子どもに関心を持ち、子どもの心をどれだけ満たしてあげられるか。子どもの心の声にしっかりと耳を向けていくことが、子どもの健全な成長に繋がります。時間に追われる現代社会ではありますが、子どもはあっという間に成長していきます。他人事としてではなく、改めて何が大切なのかを考え、少しでもアンテナを高くし、子ども達を見守っていける社会でありたいと思います。

次回は、性教育の伝え方について、レポートします。
世界マザーサロン編集部

The World’s Mother Salonでは、性教育について特集しています。

第一弾
【子どもと性】性教育は学校任せでいいの?学校教育の現状を見てみましょう。
第二弾
【子どもと性】児童買春、児童ポルノ、中絶、性感染症の低年齢化―偏った性情報が子どもを被害者に
第三弾
【子どもと性】自分の命、他者の命を大切にすることに繋がる正しい性の伝え方
世界の性教育についても取り上げています。
そちらもぜひお読みください。
・ドイツ
【子どもと性:ドイツ】生物の授業で性について学ぶー自然に考える機会を子ども達にー
・中国
【子どもと性:中国】2016年の性被害児童は778人―性犯罪の増加、性行為の低年齢化により変わり始めた学校教育
・マレーシア
【子どもと性:マレーシア】イスラム教では月経開始後の女性に男性は触れてはいけない!~

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