「学校に行くこと」をがんばらせないで。ー全国に広がる『子どもたちの第3の居場所』ー【日本の学校教育④】

通学
私自身の長い学校生活(幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学)を振り返ってみると、一度だけ、毎朝「学校(クラス)に行きたくないな。」と思う時期がありました。それは高校生の時です。その時に助けられたのが、大好きだった吹奏楽部。そこが当時の私の「居場所」となりました。私は「行きたくない」期間が短かったのですぐに回復しましたが、それは私にクラス以外の居場所があったからです。居場所があることで救われ、前進する原動力となったのです。
子どもたちが安心できる「第3の居場所」を大人が提供することで、追い詰められる子どもはもっと減るのではないかと思います。

「行かなければならない」という縛りが子どもを追い詰める

もしも、あのとき部活がなかったら…。部活がなくても当時の私には「学校には行かなきゃいけない!」という自分でもよくわからない「縛り」があり、毎日嫌でも学校には通っていた気がします。この「縛り」、きっとほとんどの子の胸の内にある気がします。
学校に入学した後、「その学校の雰囲気や先生、友だちが自分に合わない」とか「人間関係をうまく築けない」「勉強についていけない」「もっと自分のペース(能力)に合った勉強をしたい」といった理由で、その場に馴染めず居場所が見つけられない子どもは一定数います。
なんとか我慢してまわりに合わせようとしてしまう子どももいます。そうやって目に見えない我慢が積み重なると、やがてパンクしてしまいます。

大人の役割は「がんばらせること」ではない!

図書室
学校に馴染めない子どもがいたとき、まわりの大人はどうするでしょうか。
小学校や中学校は義務教育期間中なので、特に「どうにかして子どもが学校へ馴染めるよう努力しよう」とすることが多い気がします。
教室に入れないから「保健室」や「図書室」に居場所をつくることや、毎日先生が自宅へ学校の様子を電話連絡する…などなど。本人は「学校に行かなくちゃ。」ということは百も承知だから、余計につらくなることもあるでしょう。でも、大人も子どももみんな必死に策を考えて悩むのです。
こういう時は、「当事者である本人はどうしたいのか」ということと、「いま(そのとき)の本人の気持ちを丸ごと受け入れてあげる」ことが大事です。学校生活は長い人生のなかのほんの一時期。しかし、どうしても経験値のある大人たちは「がんばれば行けるようになるのでは。甘えなのでは。」と表面上はそうは言わなくても、深層心理ではそう思ってしまうこともあるのです。世間体を気にする親御さんもいらっしゃいます。
必ずこれには終わりがある、違う道もあるんだよ、と示されることで、当事者である子どもは救われるはずです。選択肢を与えてあげれば、子どもは自分で考えて、決めた道を進みます。彼らは、大人が思っている以上に自分のことを分かっているからです。さらに、自分で決めた道だったら、自信ももてます。

変わりつつある学校。でも先生は忙しすぎる・・・

書類の山
学校の対応としては、次期学習指導要領の改訂において、「特別な配慮を必要とする児童への指導 」の項目の中で、「障害のある児童などへの指導 」や「海外から帰国した児童などの学校生活への適応、日本語の習得に困難のある児童に対する日本語指導」、「不登校児童への配慮」に関して新たな項目が新設*¹されています。
今まで以上に関係機関や専門家と連携をとり、きめ細やかな対応を目指していくよう示されています。学校現場も変化していく兆しを感じてはいますが、人的な課題もあり、すぐには難しいのが現状でしょう。
全国の小・中学校不登校の児童生徒の数は、在籍児童数9,918,796名のうち134,398名で、過去10年間で最高値を更新しています*²。不登校までいかなくても、学校でうまくいっているように見えても、実は悩みを抱えている子どももいます。一方、こちらの記事<家庭環境の多様化で教員のストレスも増加~教育の土台作りは家庭から~【日本の学校教育①】>でお伝えしたように教員は忙しすぎます。
ゆっくり話を聞いてあげたくても、聞いてあげられない現実もあります。

第3の居場所を教えてあげよう!

そんな時、先生や親以外の大人と関わり、気負わずにおしゃべりする場があれば、悩みが小さくなることもあるでしょう。家、学校以外の居場所(=サードプレイス)は意外と身近にあります。そうした場所があるということを知っているだけでも、安心感がもてるのではないでしょうか。
学校の中だけで解決しようとせず、専門家や地域の人たちに頼ることも時には必要です。下にあるようなフリースクールや子ども食堂、学校内の居場所はその役割を果たしてくれています。以下は一例ですが、困った時に「困っている」と声をあげることで、入ってくる情報やネットワークも広がります。

学習する場としての居場所=フリースクール、無料学習支援会など

<フリースクール>
<親の会>
(2017/11/28現在)
(参考資料)小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設 における調査について
(2017/11/24現在)

家庭的な場としての居場所=子ども食堂

(食材調達から調理、食事、片付けまで大人と一緒に過ごし、家庭的な雰囲気の中でおしゃべりできます。学習支援を含む場合もあり。)
子ども食堂ネットワーク
(2017/11/24現在)

学校内での居場所=NPO法人が運営する県立高等学校の図書館での交流相談カフェ

NPO法人パノラマ
(2017/11/28現在)

子どもの気持ちを丸ごと受け止めてあげよう

親子の会話
学校に行きたくない原因はさまざまあるかと思います。お子さんにそんな兆しが見えたとき、無理矢理学校に行かせるのではなく、「行きたくない」と思う理由に一緒に向き合いたいですね。そして、学校以外もしくは学校の中(クラス以外)でもあなたの居場所があるんだよ、と伝えてあげてほしいと思います。力を貸してくれる人は必ずいます。
私も子どもの思いや意見には、いろいろ口出ししたくなるときがあります。でも一呼吸おき、よくよく聞いて、そのまま大切に受け止めてあげることを心がけています。
大人に自分の気持ちを丸ごと受け止めてもらえた子どもは、安心して社会に出ていきます。強い自己肯定感をもって逞しく歩んでいくことができるようになります。
本人が納得して、まわりを気にせずに安心して進みたい道を選択できるようになるといいですね。
*¹「小学校学習指導要領 比較対照表
(2017/11/28現在)
*²「平成28年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果(速報値)について
(2017/11/28現在)
written by maru
6歳年長と9歳4年生の子育て真っ最中のワーキングマザー。大学卒業後、大学研究室事務、幼稚園・小学校教員、学校司書教諭補助など。 毎晩続いている子どもと絵本を読む時間、趣味でドラムをたたく時間が至福のひととき。空や植物、自然の色彩の変化を眺めるのも好き。

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