8月27日(日)、長野市にて、若者の自立支援を行う「学び舎めぶき」主催により、株式会社今治.夢スポーツ代表取締役でサッカー元日本代表監督岡田武史さんをお招きして、講演会を開催しました。第二部のパネルディスカッションでは、株式会社長野パルセイロ・アスレチッククラブ 総務部長 町田善行さん、信州大学工学部建築学科助教授 佐倉弘祐さんにご登壇いただきました。
テーマは、共助コミュニティの創り方~地域で支え助け合える社会を目指して~。
一人でも多くの方と考える時間にできたらと願い準備を進めてきましたが、160名を超える方にお越し頂くことができました。ご参加いただいた皆様、多方面でご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
そもそもなぜ岡田さんが「学び舎めぶき」の応援に?!
「学び舎めぶき(以下、めぶき)」がなぜ岡田さんをお招きできたのか、と不思議に思われている方も多いと思います。きっかけは、めぶき立ち上げ当初に、代表の永井が長年お世話になっている方から岡田さんをご紹介いただいたことがはじまりで、それ以来、時々状況のご報告をさせていただいていました。
学び舎めぶきは、
という理想、まさに今回、岡田さんのお話の中でたくさん出てきた「夢」を掲げて、活動してきたわけですが、予想を超える利用・相談に受け入れ体制が追い付かず、どう運営をしていけば良いか悩んでいました。
この現状を岡田さんに報告する中で、「もっと周りとつながることが必要ではないか」「そのきっかけ作りに講演会を開催してはどうか」と有難いお話をいただき、本講演会の開催のはこびとなりました。
共助、助け合いのコミュニティ。一人でできることには限界があること、さまざまな人の力を借りることが必要であることを、岡田さんとの話から痛感しました。
岡田さんのお話の中には、共助のコミュニティ創りの上で大切なメッセージがたくさん散りばめられていました。本記事は、第一部の岡田さんのご講演についてのレポートです。
次世代のため、物の豊かさよりも心の豊かさを大切にする社会創りに貢献すること
これは現在、岡田さんが代表取締役を務める、株式会社今治.夢スポーツの企業理念です。ベテラン経営者から「甘い」と言われながらも、徹底して企業理念に基づいた活動を続け、そして一つずつ実現。
「夢を語り、リスクを冒してチャレンジをしてきたら、人とお金が集まってきた」。
岡田さんの言葉にはものすごい説得力がありました。物理的な「場」があっても、そこに「夢」がなければ人は集まりません。
岡田さんのお話の中で、心がワクワクする、心が温まる夢スタジアムにしたい、というお話がありましたが、そうした「ワクワク」こそが、人と人とのつながりになるということを感じました。
遺伝子にスイッチが入る経験を
当時のボスが更迭され、突然サッカー日本代表監督を引き受けられてから、尋常でないプレッシャーを抱えられていた岡田さん。ですが、できることは今の力を100%出すことだけ。そのために命がけでやる。それでだめなら謝ろう。そう完全に開き直ったら怖いものがなくなり、「遺伝子にスイッチが入った」と感じたと言われていました。
「遺伝子にスイッチ」というのは、生物学者の(故)村上和雄先生が言われていた言葉とのことですが、今の安全・快適・便利な世の中で、こんなに守られていたらいつ遺伝子にスイッチが入るのか、という想いから、野外体験教室を開催。
岡田さんの「もっとこうしたい」「もっと変えていきたい」という想いから、いつも素晴らしい場が生まれています。
遺伝子にスイッチが入る経験とは、「極限の状態で適応できる力」。これから益々この力が必要になる社会がくるはず、と私もめぶきの活動を行っていて感じます。そんなことを経験できる機会をめぶきでも企画していきます。
失敗のない人生だけが幸せではない
「これからの未来、AIの言う通りに生きる人生が必ず来る。AIの言う通りにしていれば、失敗しない人生を送れるかもしれない。でも、人間の幸せはそれだけではない。困難を乗り越え、また失敗しても這い上がって成長したり、誰かと助け合って絆ができたり、そういったもう一つの幸せが必要。それを提供できるのが、スポーツであり、文化だ。」というお話がありました。
どうしても失敗を避けようとしてしまいがちですが、それを仲間と乗り越える、そんな経験を「幸せ」と感じられるコミュニティが増えていったら、もっと生きやすい社会になるのではないでしょうか。
失敗はあって当然。大切なのは、そこから何を学び、どう進むか。そんなことを真剣に考えられる仲間を広げていきたいと思います。
キーワードは「主体性」
今回の岡田さんのお話の中で一貫して入っていたキーワードは「主体性」だったのではないかと感じました。
企業経営も、里山スタジアムの運営も、岡田さんの「自分はこうしたい」「こういう社会にしたい」という純粋で熱い想いが伝わってきます。
自分はどう生きていきたいのか。
誰かがなんとかしてくれるわけではなく、自分で判断して動く。
岡田さんは、来年度開講のFC今治高等学園の学園長に就任し、教育分野にも力を入られています。ロールモデルがない中で、自分でなんとかしていかないといけないと考えられる、時代のリーダーが必要。それを「キャプテンシップ」として、そういうリーダーを養成し、それが全国に散り、コミュニティを創っていく。上からひっぱるのではなく、みんなを巻き込んで、お互いが主体的になって助け合っていくコミュニティを創る。
それが、「共助コミュニティ」という考えです。
岡田さんのお話をお聞きしていると、本当にワクワクしてきます。
そして同時に、もっと私自身、どう生きていきたいのか夢を描いて、そしてそれをもっと語っていこうと思いました。
共助のコミュニティ創り
「今の社会がこうだからこうしなければ」と難しく考えるのではなく、もっと純粋に、大人が夢を語り合う。ワクワクが集まれば、きっと人は集まります。そして集まった人同士、声を掛け合う。助け合う。そのつながりから経済を動かす。そしてまた新しい夢を語り合う。そんな循環型の社会をめぶきでも目指していきます。
めぶきの活動にご興味をお持ちいただけましたら、是非お気軽にご連絡ください。
(学び舎めぶき:永井佐千子)
第二部パネルディスカッションの様子についてはこちらをご覧ください。
アフター交流会の様子についてはこちらをご覧ください。
学び舎めぶきについて
「学び舎めぶき」は2021年12月に開所しました。誰もが利用しやすいように、利用料は無料です。これまで小学生から成人まで、50名近い方が利用登録をされ、就労できるようになった方も増えてきています。特に20歳前後の方からの相談が多く、この1年の活動を通して、行き場のない人たち、制度の支援から漏れている人たちの多さを痛感してきました。私たちの活動に共感して頂き、2022年12月19日には、朝日新聞の『天声人語』にも掲載されました。
高校を卒業してからどこともつながらないまま、引きこもってしまっているというケースも多く、早い段階で信頼できる、安心できるつながりを持つことの大切さを感じています。
学び舎めぶきでは安定して継続するため寄付を募っています。皆様のご支援をよろしくお願い致します。
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