産業用大麻とは?地球の環境を守る可能性について/Japan

大麻草は、俗に「マリファナ」と呼ばれる麻薬の原料として知られており、大麻取締法で所持、栽培、使用などが制限されています。
その傍ら、日本では2000年以上前から身近に使用されてきたことや、将来的に環境保護に役立つ可能性を秘めていることについては、あまり知られていないのではないでしょうか。

日本人の生活に密着していた「麻」

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日本における大麻草は、繊維である「麻」として、縄文時代から衣服、縄、紐、などの生活素材に使われてきました。今では、紙製品、住宅用建材、動物用飼料、七味唐辛子にも活用されています。
また、邪気を払う力が宿るとされ、神社の注連縄や横綱の化粧まわし、ご先祖様の送り火迎え火に必要なオガラなど、神聖な場でも重宝されてきました。赤ちゃんに麻の葉模様の産着を着せる風習も、ここからきています。
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近年では、伝統技術を残したいという動きから、「野州麻100%の和紙」「書道の青炭」「麻炭」「麻蚊帳」などが復活して商品化され、麻の実料理を提供する「レストラン麻」が都内に開業していた例もあります。

産業用大麻「ヘンプ」

「ヘンプ」とは、嗜好用大麻と異なり、産業用、食用素材として表される大麻の呼び名です。「ロハス」「オーガニック」「スローライフ」といったキーワードと一緒に聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
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欧米ではナチュラリストを中心に愛されてきた素材ですが、大麻草が、全ての化石燃料にとって代わることのできる唯一の植物とされているため、環境問題が取り沙汰されてから、再び注目を集め始めました。
例えば、石油由来のプラスチックは半永久的に原形をとどめ、土に還ることはありませんが、代わりに、産業用大麻を原料としたバイオマスエネルギーを使うことで、廃棄物となっても地球に戻せる製品が作れることになります。
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バイオマスエネルギーとしての大麻

まず大麻草は、温暖な地方では一年中栽培が可能で、生長期間が短く、ほとんどの場所では年2回収穫でき、他の農作物を収穫した後にも植えられるため、大量に栽培することができます。育てやすい植物なため、枯渇の心配がありません。
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そして、大麻草の栽培とバイオマスエネルギーの利用は、完璧に循環します。
「大麻草を栽培する」→「大麻草が二酸化炭素を吸引」→「大麻草が成長」→「バイオマスがエネルギーを生成」→「バイオマスエネルギーが燃焼」→「二酸化炭素を排出」→「大麻草が二酸化炭素を吸引」→「大麻草が成長」→「バイオマスエネルギーを…」
地球に負荷をかけない、クリーンで再生可能なエネルギーといえるでしょう。
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例えば、1エーカーの大麻草畑からは、約2000リットルのガソリンが取れると試算されており、大麻草由来の燃料を利用することによって、アメリカ人は石油にほとんど依存しなくてもよい生活を約束されると言われています。

海外での取組み

欧州では、大麻を原料としたバイオマス利用は見直しが始まり、1993年イギリス、1994年オランダ、1995年オーストラリア、1996年ドイツ、1998年カナダが、産業用としての大麻栽培を解禁しています。
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特に、ドイツとフランスはその最先端。メルセデスベンツ、BMW、アウディをはじめとする、ドイツ車の一部は、大麻繊維を材料として作られていますし、フランスは、20世紀に展開されたアメリカの大麻利用禁止の圧力を跳ね除け、自国の農業政策で大麻の生産を脈々と続けてきました。
大麻の嗜好的利用を最も嫌っているといわれるスウェーデンでも、大麻を「エネルギー作物」と位置付けて、2008年から産業的な利用が始まりました。大麻を発酵させて作るメタンガスを、天然ガスの代替エネルギーとして利用することを計画中です。
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アジアに目を転じてみても、中国では軍需物資を中心に大麻製品の生産が始まっており、韓国でも産業大麻の研究開発が急速に進んでいます。実は日本でも、2008年に北海道北見市が「産業用大麻栽培特区」の認定を受け、新たな産業を生み出すための試みを始めているところです。

人体に及ぼす影響も知ろう!

最後に、嗜好的利用についても少しだけ。
大麻を薬物として使用した場合、アルコールやニコチン、カフェインなどよりも依存性や中枢神経への影響が少ないため、むしろ安全なのではないかと捉える意見もあります。
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一方で、大麻の乱用による、免疫力の低下や白血球の減少、「大麻精神病」と呼ばれる独特の妄想や異常行動、思考力低下などの深刻な症状も報告されています。2015年11月には、小学生の児童が大麻吸引で摘発される事件も起こっており、今後は低年齢から正しい知識を伝えていく必要性があると言えるでしょう。
しかし、「薬物になりうるから、原材料である大麻草の話題には触れてもいけない」と全ての可能性を切り捨ててしまうのではなく、人体への影響も考慮にいれながら、環境保護の恩恵は享受できるよう研究を進めていく、良いところを上手に活用できたら地球の未来にとってもよいのではないでしょうか。
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【参考文献】
・永吉秀夫「大麻入門」幻冬舎、2009年1月
・ジャック・ヘラー「大麻草と文明」築地書館、2014年10月
・大麻草検証委員会「大麻草解体新書」明窓社、2015年4月
・武田邦彦「大麻ヒステリー」光文社、2009年6月
・池上彰監修「ニュース年鑑2016」ポプラ社、2016年2月
「レストラン麻」(2016年11月現在休業中)
By naoko@Japan

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