息苦しくなって思わず閉じた某女性誌
以前、コンビニである女性誌を立ち読みしました。
この雑誌の専用アプリの解説によると、「仕事を通じて成長したい」「自分の時間も充実させたい」「結婚して子どもも欲しい」どれも大切にしたい頑張る女性たちを応援し、“働く喜び”を見つけるお手伝いをする、そんなコンセプトで編集されている雑誌です。
創刊当初、「こんな雑誌ができたんだ!」とワクワクしながらページを開きました。そして、ページをめくるうちに苦しくなって、5分も経たずに棚に戻してしまいました。
苦しくなってしまった理由は、「頑張りすぎ」。いまの日本で仕事をして、結婚して子どもを持つには、こんなに何もかも頑張らないといけないのかと思ってしまったのでした。
もうずいぶん前なので記憶はあやふやですが、たしか時間管理の手帳術、家事を効率よくこなすためのお掃除ロボットや時短家電、おしゃれにも気を抜かないメイク道具やファッション記事、子どもの進学情報などなど。完璧であるためのあらゆる情報が網羅されていました。
あなたは勝ち組?それとも負け組?
こうした雑誌を手に取る人の反応は、大きく二つに分かれると思いました。より理想的な暮らしを追求して情報を積極的に取り入れる「勝ち組」追及派と、「私にはもう無理」となんだか「負け組」な気持ちになってしまう人。この雑誌のメイン読者は明らかに前者ですから、それで問題はないのだけれど、一方で、そんなに頑張らないといけないかしら……と思ってしまいます。
過去を知ろう!いまの日本のお母さんは忙しすぎる
いま、大学院ではお金だけでなく、家事や時間についてもジェンダー視点から考えることが多いのですが、いまの日本女性は明らかに忙しすぎです。
戦前の日本では農家や自営業が多く、大家族で暮らしていましたから、家事や子育ては家族みんなで行っていました。お母さんも働いていましたが、大勢いる子どもの世話は親や兄弟姉妹にも任せられ、いまのように子育てのプレッシャーを一人で抱える必要はありませんでした。
戦争が終わって高度経済成長期に入ると、田舎からたくさんの若者が都市部にやってきて、核家族化が進みました。お父さんが会社でモーレツサラリーマンとして働き、お母さんが家事と子育てを担うという、夫婦役割分業が進むようになりました。
この頃から、さまざまな雑誌が普及したりテレビコマーシャルを目にしたりして、それまで知らなかった「理想的な暮らし」を知るようになりました。理想的な暮らしを「知る」と、その暮らしを手に入れたくなってしまうもの。
ますますお父さんは頑張って働いてお金を稼ぎ、将来いい会社に入れるようにと、お母さんはますます子どもに勉強をさせるようになりました。結果、お父さんも子どもも忙しくなり、ますます家事はお母さんの仕事になっていきました。
1990年代に入ってバブル経済が崩壊すると、日本経済が低迷し、お父さんたちの給料が下がるようになりました。そこでそれまで家庭にいたお母さん達が再び外で働くようになりました。現在では、共働き家庭の数は専業主婦家庭の約2倍。共働きが当たり前の時代になってきています。
ふたりでお金を稼ぐなら、お金を使って家事の負担を減らしてみては?
何かを始めるなら、何かを手放さないと、どんどん忙しくなるのは当たり前。お掃除ロボットや食洗器が普及してきたからといって、ご飯の支度も洗濯も掃除も買い物も、すべての家のこと、子どもの学校のことをやりながら、仕事もこなすのはただ事ではありません。
よその国を見渡してみると、男女とも早く帰って家事をシェアしていたり、それが難しければ、お金を払って家政婦さんを雇っていたり、朝食は毎日外食が当たり前になっていたりと、いろんな方法で負担を軽減化しています。
いまの日本では、共働きの女性があれもこれもと頑張って家事もこなしているか、そんなスーパーウーマンにはなれないと有能な女性が仕事をあきらめるか、仕事を続けるために子どもをあきらめていることも。そんなのもったいないですよね。
仕事がいい具合に調整できて夫婦や家族で気持ちよく家事をおこなえるのが一番。でも、それが難しいなら、家政婦さんやベビーシッターなど外部サービスの利用も選択肢に入れてもよいのではないかと思います。家事を押し付けあって、夫婦がぎくしゃくなんて、本末転倒なことになりませんように。
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By よっしー(女性のためのお金と仕事の相談室 ハートマネー代表)
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