我が家の長男は大学受験を控えた高校3年生、次男はいま中学2年生で高校見学をはじめました。そこで今回は、親目線、学生目線、ファイナンシャルプランナー目線でみた今どきの大学事情について、ざっくばらんにお伝えしていきたいと思います。
子どもがいる家庭にとって、教育は最大の関心ごとといえるでしょう。一生懸命な親ほど、自分の経験値で子どもの進路に口を出しすぎてしまったり、塾など教育産業に言われるままになってしまったりする傾向があるようです。
30年遅れのアドバイスは役に立たない
以前、保護者として高校の進路相談会に参加した時のこと。「受験生に親ができるのは毎日決まった時間にご飯を作ってあげることくらい。お父さんやお母さんの時はこうだったなんて体験談は、子どもにとって役に立ちません。」といわれました。
また、ある大学の授業で就活生に向けて授業をしたときのこと。キャリアセンターの先生が、「子どもの就活先にあれこれ口を出す親御さんがけっこういるんですよね。楽天などネット企業を受けたい子どもを『そんなよくわからない企業を受けるのは辞めておけ』なんて止める親がいまだにいるんです。」と嘆いていました。
子どもに良かれと思ってするアドバイスですが、話す親本人にとってはつい最近のことのようでも、子どもにとっては30年ほど前の使えないだったりします。30年違えば、受験制度も、大学ごとのレベルも、企業の業績もまるで違って当たり前なんですよね。
この30年のタイムラグに気がつかずに、昔の常識を押し付けるのは危険です。いまの実情をよく知っている先生たちの声にまず耳を傾け、そのうえで冷静に判断する力を親は身につけたいところです。
大学生に直接話を聞けるメリット
その点、自分がリアルタイムで学生をしていて、実際に今の大学生、大学院生たちに話を聞く機会があるのは、とても恵まれていると思います。
私はもともと私立大学の文系出身ですが、息子は国立大学の理系志望。そこで、理系の学生と知りあったときには、最近の大学事情や留学、卒業後の進路について、ちゃっかりあれこれ聞いています。また、学会などでよその大学が会場になると、進路説明会にでも来ている気分で大学キャンパスを散策することも。
子ども自身も高校の先輩たちから直接大学の様子を教えてもらう機会に恵まれているので、親の私が特別なアドバイスをしているわけではありませんが、おかげで子どもと近い感覚で大学を見られているとは思います。
大学は必須ではない
いまは30年前と違って、大学を出たからといってその後の人生が保証される時代ではありません。日本は人事部による新卒一括採用が主流のため、就職後は企業内でいろんな部署を転々とするのが一般的です。この場合、部門別採用が主流の欧米ほどには大学で学んだことがキャリアや給与に直結しません。
また、就活時に景気が悪ければ、採用人数が激減します。日本では中途採用の門戸がまだ欧米ほど開かれていませんから、最初の就活が難しいとなかなか希望するレールに乗りにくいのが実情です。
長い期間とお金とパワーをかけた教育投資が、景気がいい時に就職をして大企業に長く勤め続けることを前提にしたものだとしたら、いまの時代は不確定要素が多すぎるとは思いませんか?
データ等で見るとたしかに高卒の普通就職が厳しいのも事実なのですが、大学を卒業したからといって人生バラ色ではないことも知っておきたいもの。
私自身は親として、大学は行きたいと思ったら真剣にチャレンジして行けばいい。でも、行きたくなければアルバイトでも旅でも部活でも高校時代を思う存分に過ごして経験値を高めればいい。大学には学びたくなった時にいつでもいけると子どもたちに伝えています。
教育費を稼ぐために必死で働いていませんか
以前、家計相談を受けた方が、「塾の先生にこれがいいって言われると断れなくて、どんどん教育費が増えてしまいます」といっていました。塾や予備校の先生は、合格というゴールに導くのが仕事ですから、その目的達成に向けて付加サービスをどんどん勧めるのは当然のことですよね。
親の方で、「ここまでは必要だけれどこれ以上は不要」という線引きポイントを作らないと、幼い時からずっと教育費をかけ続けることになり、いつのまにか教育費を稼ぐために、朝から晩まで必死で働き続けることになりかねません。
愛された育った実感を伝えたい
子ども達には、愛されて育ったという実感、やればできるという成功体験、自立できるだけの生活力の3つを持ってほしいと思っています。一緒に同じご飯を食べて、毎日たくさんしゃべって笑っていれば、少なくともひとつめの「愛されて育った」という実感だけは伝えられるのではないかしら。
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By よっしー(女性のためのお金と仕事の相談室 ハートマネー代表)
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