私が大学院に行くようになり、この連載を書くようになったら、何人かの友人から「大学院について教えて」と声をかけられました。私も去年の秋ごろは、大学院で何をするのかよくわからず、進学するかどうか決めかねていたので、気持ちがよくわかります。
そこで今回は、大学院って何をするところなの?そもそも研究って何をするの?授業料はいくらかかるの?といった素朴な疑問に答えていきたいと思います。
そもそも大学院とは?
大学院は、大学におかれ、学術理論および応用を教授研究する機関のこと。修士課程 は2年間で、学術理論を学んだり修士論文の執筆を行ったりします。博士課程 (修士課程の上に3年)はさらに専門性を追求した機関で、進学する人数はさらに限られるほか、授業に出席するというよりも個人の研究活動を中心に行います。
私が通っているのは、国立大学のごく一般的な大学院のため、授業時間も平日昼間が中心となります。社会人に大変人気のあるビジネス大学院は、平日夜間や土日の授業が多くなっていて仕事帰りに通いやすく、ビジネス上の人脈形成にも役立つといわれています。
また、理系の場合は、大学卒業後にそのまま大学院に進学する割合が多いので、また様相も違うでしょう。文系の一般的な大学院に、社会人を経て通いなおす場合の一例として読んでくださいね。
授業スタイルはゼミ形式が中心
文系の大学生の場合、授業の多くは講義形式です。比較的大きめの教室で、教授がホワイトボードやパワーポイント等を使って講義をして、それを黙って聞くというスタイルの授業が多いことでしょう。
それに対して、大学院の授業の多くは、ゼミ形式で行われます。人数は多くても10人前後。事前に指定されたテキストやテーマについて、その日の担当学生がレジュメを作成して発表します。発表担当でない人も全員予習してくるのが大前提で、担当者の発表が終わると、全員で質疑応答やディスカッションをするというのがよくある授業形態です。
ゼミの先生によっては、自分の所属する学会や研究会に声をかけてくれるなど、学外の学びの場が広がることもあります。
研究って何をするの?
大学院に入るときには、自分が興味関心を持つ分野を学べる大学院、専攻、教えを請いたい教授の研究室を探します。
大学院ではいくつか授業も受けますが、その学びの先にあるのが修士課程を卒業するときに提出する修士論文。自分が2年間かけて行ってきた研究活動の集大成となるのがこの論文になります。
普段参加するゼミ形式の授業も、自分の研究に役立ちそうなもの、必要な理論が学べそうなものをなるべく履修することになります。つまり、大学院では、自分が何について研究をしたいかがとても重要になります。
私の場合、受験時の願書と一緒に「研究計画書」の提出が義務付けられていました。当時は研究とはなにかがわからないでいたので、この書類を書くのも一苦労でした。ただし、心配はいりません。入学してから実際に勉強をするなかで研究したい中身が変わってきてもそれは特に問題にはならないからです。
あまり難しく考えず、自分の興味関心と大きく違わないところを選ぶこと、入学前にできれば教授にアポイントを取って教授の研究テーマと自分のやりたいことの方向性がずれていないかを確認しておくといいでしょう。
大学院の学費はいくらかかるの?
なんだかおもしろそう、私も行ってみたい、と思った時に、気になるのがお金の話だと思います。ざっくりとした目安金額を表にしてみました。
国立大学の場合、大学院の入学金、授業料共に国立大学と変わりません。私立の場合は、価格帯もさまざまですが、私がいくつかの大学院をざっと調べたところ、文系の場合は年間授業料が80-110万円程度、理系の場合には100-130万円程度に設定しているところが多いようでした。
私立大学とそんなに変わりませんね。ただし、MBA取得目的の大学院や法科大学院のように専門色が強いところは、学費も高めに設定されています。大学や選考によって大きく差がありますので、興味を持った方は比較してみるといいでしょう。
大学院に行くと収入は増えるの?
習い事感覚で通うには、コスト面でも負担が大きい大学院。いざ通うとなると、経済的にも時間的にもそれなりに覚悟が必要ですが、そんなにしてまで、大学院で学びなおす意味があるのか気になるところだと思います。
まだ20代の場合には、研究を生かした専門職への就職や転職を目指して入学する人も多いでしょうが、私の年齢になるとそうした選択肢もずいぶんと減ってきます。奨学金には年齢制限のあるものも多いため、出費もなかなか大きいですし、仕事と家事と学業の時間のやりくりはなかなか大変。
そういう意味では、負担が大きい割に、新たな学歴を得たからといって新しい仕事や収入アップが約束されているわけじゃないんです。
大学院での学びは必ずプラスになる
ただ、私は本当に通ってよかったと思っています。10年以上いまの仕事をしてきて経験値はいろいろ積んでいますし、世の中に対する問題意識もたくさんありますが、そこに体系だった理論が加わることで、以前に増して納得しながら仕事を進められるようになりました。
また、国内外からきた意識の高い学生に日々刺激を受けることで、視点も大きく広がりました。自分の意識が変わったことでアウトプットするものが自然と変わってきた結果、いただく仕事の幅が広がり、専門性も増してきました。いまはまだまだ持ち出しが多いけれど、大学院で専門性が上がった結果、いつか収入にも跳ね返ってくると信じています(笑)。
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By よっしー
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