子どもに牛乳は必要か(1)~アメリカの消費量は減少傾向!!~

日本では、「牛乳」と聞くと学校給食を思い出す方も多いのではないでしょうか。牛乳嫌いな子どもにとっては辛い時間ですよね・・・。「子どもの成長のためには牛乳を飲ませなければならない」という「教え」はいつから広がったのでしょうか。

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「日本食」が変わり始めている?!

日本食と言われてイメージするものは、お茶碗に盛られたご飯に、お味噌汁にお野菜や海藻…などではないでしょうか。私は旅行などでしばらく洋食が続くと、ご飯やお味噌汁が自然と恋しくなります。
しかしながらそんな日本人の伝統的な食事内容は、実は過去の話になりつつあります。なぜなら、お米よりももっと日本人の食生活に深く根付くこととなった食品が登場したからです。それが牛乳を始めとする乳製品です。
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乳製品の消費量は50年で約2.4倍!

日本人の牛乳摂取の歴史は昭和20年代後半に遡ります。この頃から保健所で牛乳が勧められるようになりました。そして昭和33年からは学校給食に牛乳が導入されます。
それ以降の日本国内の牛乳・乳製品の消費量推移を見てみますと、昭和40年(1965年)には国民1人当たり生乳換算で年間約38kgでしたが、平成26年(2014年)には約90kgと、およそ2.4倍に増加しています。
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給食の牛乳とコッペパン
今や国内の牛乳・乳製品の総消費量は約1,169万トンにのぼり、この数字はお米の総消費量を遥かに抜いて、国内では野菜の次に需要の多い品目となっています。(http://www.dairy.co.jp/jp/jp06.pdf#search=’%E4%B9%B3%E8%A3%BD%E5%93%81+%E6%B6%88%E8%B2%BB%E9%87%8F’ データは農林水産省「食糧需給表」より。)

なんとアメリカでは急減!!!

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一方アメリカでは日本と逆の方向に進んでおり、乳製品の消費量はこの30年で約半分に減っているのです。 また、アメリカ人の一人当たりの牛乳の消費量は、第二次世界大戦をピークに1975年から減少し続けており、その量は1975年の一人当たり28.6ガロン(108.68リットル)から、2011年の20.2ガロン(76.76リットル)へと、29.4%も減少していることがわかります。
http://www.wsj.com/articles/SB10001424127887323316804578165503947704328

牛乳神話のきっかけは「スポック博士の育児書」?!

そもそも、日本人の牛乳・乳製品の摂取が始まったのは、アメリカの小児科医ベンジャミン・スポック博士が世界的な大ベストセラーとなる育児書『スポック博士の育児書』(The Common Sense Book of Baby and Child Care)を出版したのとほぼ同時期。
昭和21年に出版され、後に日本を含め世界43か国で翻訳されました。
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1946年以降、聖書の次に世界中で読まれた「スポック博士の育児書」1998. googleBooksより
この育児書は、日本の母子手帳の副読本や参考図書になったり、当時の多くの一般向け育児雑誌や専門雑誌がこの育児書を参考にして書かれたりもしました。この様に大変影響力の大きかった育児書なのですが、そこに実は「子どもには牛乳や乳製品を積極的に摂らせること」や、「牛乳はすばらしいものだ」という内容が記載されていたのです。
そのため、子どもに積極的に牛乳を飲ませるお母さんたちが増え、それが常識のようになっていきました。

その後、180度変更―「牛乳は飲まない方が良い!」

やがて平成10年にスポック博士は88歳で亡くなりますが、実はその直前に前述の育児書の改訂を行い、第七版が出版されています。その内容を見てみると、なんと第六版までの内容とは180度変わっていたのです!!
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つまり、「子どもは牛乳を積極的に飲むべき」から、「牛乳・乳製品を摂るべきではない。自然界には離乳を過ぎてミルクを飲む動物はいない。人間も同じであり、離乳期を過ぎたらミルクを飲まない方が正しい。二歳を過ぎた子どもに牛乳・乳製品をすすめることはしない」という内容へ、これまでの牛乳摂取を奨励する内容とは全く反対のことが記載されたのです。
しかしながらこの改訂版は日本で出版されることはなく、改訂された内容も周知されず、未だに日本では学校給食で毎日牛乳が出されていることはもちろんのこと、牛乳はカルシウム豊富な食品の代表格として未だ確固たる地位を確立しているというのが現状です。

常識は変わる。だからこそ、自分で判断できる力を!

なんとなく私たちは、<常識=正しい>という判断をしてしまいがちですが、これまでの常識が180度変わるということはよくある話です。ですからお母さんたちは、<これは常識だから従わなければ>ではなく、自分にとって最適な情報を探し、見極め、そして自分のものにするという過程が非常に重要になってきます。
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「牛乳は栄養豊富な素晴らしい飲み物である」ということが常識として信じられてきたことから生み出された状況は、落ち着きのない子どもたちやアレルギー体質の子どもたちの急増でした。次回は牛乳の身体への負担について考えてみましょう。

【参考文献】
・『子どもの病気は食事で治す』内山葉子、評言社、2015。
・『親子にやさしい自然育児』スーザン・マーケル著、望月策訳、草思社、2012。
・『医者いらずの出産&育児』真弓定夫、三五館、2014。
By Kocchi


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