ルールのもとで力加減を学ぶ
息子の通う園では、毎年『相撲大会』が行われています。体と体のぶつかり合いで、年齢の大きい子同士になると思いきり相手を倒しにかかります。
日ごろはお友達を押してはいけない、倒してはいけない、と親や集団教育の場で教えられている子ども達ですが、相撲の時は別。ルールの元、相手を思いきり押し倒してもよく、本気でぶつかり合います。
どれくらいの力をいれて押すとお友達は倒れてしまうのか、本気で勝負するからこそ力加減を学べる場となります。体格の大きな子も小さな子も客観的に自分を知ることが出来、自分の持っている力と相手が持っている力を認めていく機会になります。
力加減が分かるからこそ、弱い子には手加減ができる
面白いことに、異年齢で対戦すると、上の子が年下の子を本気で投げ飛ばすようなことはほぼありません。手加減してわざと負けてあげたり、そっと押し出してみたり子どもたち自身が相手を思いやって行動しています。
「勝って奢らず、負けてくさらず」を合言葉に
『相撲』は、ある程度の年齢になると、力のぶつかり合いはもちろん、プライドのぶつかり合いにもなります。一発真剣勝負なので、力が強い子は思いきり力を使い、小柄な子は頭を使って技を使う子もいます。
投げ飛ばされて涙する子もいますが、息子の幼稚園では、「勝って奢らず、負けて腐らず」を合言葉に、必ず礼に始まり、礼に終わることで、土俵を下りると勝ち負けを持ち越さないように教えられているようです。
そもそも相撲とは??~古代日本では相撲でその年の豊作を占っていた~
相撲は1500年以上もの歴史があるといわれており、人間の闘争本能である力くらべや取っ組み合いから生まれた伝統あるスポーツです。古事記や日本書紀の中にも相撲の話は出てきます。
出典:「野見宿禰と當麻蹶速対戦の図」日本相撲協会
古代の日本では、豊作やその年の平和を願い村々で祭りを開き、神々に祈りを捧げていました。その際、力自慢の男たちが相撲を取ってその年の農作物の豊作を占うようになり、相撲は儀式として毎年行われるようになったと言われています。
ゲーム遊びが増えているからこそ、「ぶつかり合う場」を作る!
昔はこうして、大人も子どもも「ぶつかり合う」ということが頻繁に行われていたのでしょう。しかし現代の子ども達は、ゲームで遊ぶことが増え、ぶつかり合って遊ぶ、という経験が少なくなっています。
そのせいか子ども同士の悲惨な事件が後を絶ちません。思い切りぶつかり合うことで、自分の痛みを感じ、相手の痛みを想像できるようにするには、実際に体感してみないと分かりません。
自然に体感する機会がない現代では、学校や幼稚園、保育園、そして家庭で、ルールを作ってぶつかり合う、という場をあえて設けていくということは、子ども達にとっても必要かもしれません。
相撲を体験したいという方は地域ごとにわんぱく相撲大会も開催されています(http://www.wanpaku.or.jp/)。
子ども達には、力の正しい使い方を身に付け、相手を思いやれる人に育ってほしいですね!
【参考資料】
日本相撲協会:http://www.sumo.or.jp/IrohaKnowledge/sumo_history
相撲のひみつ 新田一郎
By saya
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